ワイヤー放電加工は、複雑な形状や微細な加工を可能にするため、航空宇宙、医療、電子機器など、多岐にわたる産業分野で難削材の加工に用いられています。これらの材料はそれぞれ特有の加工特性を持つため、材料ごとの課題を理解し、加工をしていく必要があります。

難削材をワイヤー放電を使って加工するポイント

タングステン

タングステンは、高硬度(HV2000以上)かつ3400℃を超える融点により、非常に優れた耐熱性・耐摩耗性を誇ります。そのため、高硬度・高融点の特性から、加工速度が著しく低下、また加工時の熱が集中しやすく、ワイヤーの断線や加工精度の低下を招きやすいです。加えて、加工時には発生する熱ひずみが大きく、精密な加工が困難になることがあります。

加工ポイントとしては、下記の点が挙げられます。

・高出力・低速の加工条件を設定し、加工速度と精度のバランスを取る。

・放電ギャップを適切に管理し、加工熱の集中を防ぐ。

・油加工の場合は、熱伝導性の高い誘電液を選定し、また水加工の場合は、イオン交換樹脂の設定を適切に管理し、油・水加工それぞれの冷却効果を高める。

・加工中のワイヤー張力および加工液の放出量を調整し、断線を防ぐ。

銅タングステン

銅タングステンは、タングステンの耐熱性と銅の優れた電気・熱伝導性を兼ね備えた複合材料です。タングステンと銅の組成比によって、加工特性が大きく変動します。また、加工熱により、銅が溶融しやすく、加工面の品質が低下することがあり、その他、電解液中の銅イオンがワイヤーや加工面に付着し、加工不良の原因となることがあります。そのため、以下のポイントを押さえることが重要です。

加工ポイントとしては、下記の点が挙げられます。

・材料の組成および加工する厚みに応じた銅イオンの溶解を抑制する加工条件を選定する。

・仕上げ加工時には、低エネルギーの加工条件で、加工熱の発生を抑制する。

銅タングステンは複合材料になるので、それぞれの金属の特性を考慮した加工条件が非常に重要になります。

チタン

チタンは、軽量でありながら高強度・高耐食性を持つため、航空宇宙や医療分野で広く利用されています。しかし、反応性が高く、熱伝導率が低いという特性があります。そのため、狭い範囲内で加工熱が集中しやすく、加工時に材料の変形が発生しやすく、放電ギャップが狭いことが課題として挙げられます。

加工ポイントとしては、下記の点が挙げられます。

・低速・低電圧の加工条件を選択し、加工熱の発生を抑制する。

・熱が蓄積されにくくなるように、加工条件を調整する。

・パルス時間を空けて、冷却時間を長めにとる。

・材料の加工厚みに応じて、仕上げ加工時に放電ギャップ量の調整を行い、短絡を防ぐ。

チタンは、金属の中でもとくに熱に弱い部類の金属になるので、熱対策を重点的に考慮する必要があります。

モリブデン

モリブデンは、高融点・高温強度に優れるため、高温環境下で使用される部品に利用されます。しかし、高温で酸化しやすい特性があり、加工面の品質が低下します。また加工時の熱ひずみが大きく、精密な加工が困難になることがあります。そのほか、ワイヤーとの親和性が高い為、ワイヤーの断線が発生しやすいといった課題があります。

そのため、加工ポイントとしては、下記の点が挙げられます。

・加工速度と加工電圧量を最適化し、加工熱の発生を抑制し、断線を防ぐ。

当社の加工事例の一部をご紹介

タングステンパーツ

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こちらの製品は、半導体製造装置に使用されるタングステン製のパーツになります。中心部の4穴の加工はテーパー加工後、放電加工にて下穴をあけ、ワイヤーカット加工機よる高精度加工を施しております。また、平行度、平面度ともに、0.005㎜以内であり、精密装置部品としての基準をクリアしております。超硬加工.COMでは、この様な精密加工部品の製作を得意としており、様々な加工設備、ノウハウ等を駆使し短納期にて色々なタイプの精密部品をお客様に提供しております。

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まとめ

当社では、材質に応じた加工条件をノウハウとして蓄積しており、ご要望に応じた柔軟な対応が可能です。「ワイヤー加工でこんな材質は対応できないか」、「高精度な加工をしてほしい」などのご要望がございましたら、下記よりお問い合わせください