ワイヤーカットの加工精度の違いとは?

ワイヤーカット放電加工機は様々なメーカーが取り扱っていますが加工精度の違いから、汎用加工機・高精度加工機・超高精度加工機に分けることができます。それぞれの違いを説明いたします。

汎用ワイヤーカット放電加工機

汎用ワイヤーカット放電加工機は精度があまり要求されない部品加工に使われています。例えば、公差のゆるい部品の穴加工・形状加工や、板金加工において複数枚の抜き加工を行う場合に、鋼板を数枚重ね合わせたものをワイヤーカット放電加工機で切る、といったケースです。加工精度はおおよそ±0.01mm程度となります。

高精度ワイヤーカット放電加工機

高精度ワイヤーカット放電加工機ですが、これは、±0.005mmの部品加工や金型加工に用いられるもので、汎用加工機と大きく違う点はピッチ精度も±0.005mmの加工ができるので、プレート加工にも用いられます。ちなみに当社では、高精度な加工にお応えすることが多いため、汎用加工機は保有しておらず、すべて高精度ワイヤー放電加工機以上のものとなっています。なお、小型のワイヤーカット放電加工機の方がより精度が出しやすくなります。

超高精度ワイヤーカット放電加工機

超高精度ワイヤーカット放電加工機は、±0.002~0.003mmの精度で加工ができるものであり、汎用加工機・高精度加工機と比較して、機械自体の剛性も非常に高く、機械自体に温度変化が生じないようにするシステムも導入されております。さらに加工機によってはヘッド部分が門型になっていることで剛性を高めているものもあります。加工精度もさながら、ピッチ精度・面粗度も高いのが特徴です。

また当社では、ワークや製品に応じて適切な加工を行うために、超高精度ワイヤーカット放電加工機を水仕様・油仕様の双方とも保有しております。加工速度を優先する場合は水加工を行い、加工精度を優先する場合は油加工を行います。

下記リンクをクリックして頂くと水加工と油加工の違いについて紹介しておりますので詳しく知りたい方は是非ご覧ください

>>詳しくはワイヤーカット放電加工の水加工と油加工の違いとは?をご覧ください

当社のワイヤーカット放電加工機の加工事例

上記で説明したように当社は加工精度の観点から、汎用ワイヤーカット放電加工機の保有はなく、高精度ワイヤーカット放電加工機と超高精度ワイヤーカット放電加工機を保有しております。

本記事では、高精度ワイヤーカット放電加工機と超高精度ワイヤーカット放電加工機の加工事例を3つずつ紹介します。

高精度ワイヤーカット放電加工機の加工事例

 

SUS304製 精密ギア

 

DSC_0238

こちらのSUS304製精密ギアは平面・平行度を±5μmに加工しています。ギアの製作で重要なのは形状及び外周のギア角度です。ギアの角度及び平面平行度を正確に保たれていなければ、回転による振動の影響や正確に嚙み合わないためスムーズに回らない場合があります。そこで当社ではワイヤー放電加工にて高精度に加工を施しております。またステンレスの薄板はワイヤー放電加工する際に反りが出てしまうので、加工後にも研削加工を入れて、要求される平面平行度を実現しています。

>>詳しくはこちら

超硬 ワイヤーカット鏡面仕上げ

 

これは超硬合金をワイヤーカットにて切り出し、外周面及び内面に鏡面ラップ研磨を施している精密加工品です。

本製品の表面には平面研磨加工を行い厚み精度は千分台となっています。また、内径面に流動研磨を実施していますが、微細孔(φ0.3以下)などの流動研磨の場合には流体研磨を適用することでRa0.06まで対応が可能です。

>>詳しくはこちら

細穴放電ステンレス加工部品

 

6-4-4-1

この細穴放電加工を行ったステンレス精密加工品は本製品はSUS303の板材にワイヤーカット用の下穴をあけ、研磨加工後にワイヤーカットにて切り出し、A,B,Cの形状になるようにφ0.15を細穴放電加工にて仕上げております。穴径公差は±0.005mmをクリアしています。また、同様の加工でマシニングによる高精度ドリル加工も可能です。加工素材のSUS303は、同じステンレスであるSUS304より耐食性は劣りますが、硫黄とリンの成分含有量が多く、被削性と、耐焼付性に優れている素材です。

>>詳しくはこちら

超高精度ワイヤーカット放電加工機の加工事例

 

超硬パンチ

 

超硬パンチ

こちらは半導体業界で使用される金型用超硬パンチです。本製品はワイヤーカット加工で形状を作った後に、手仕上げにて鏡面ラップ加工を施しています。当社では各種研削盤による鏡面加工も可能ですし、手仕上げによる鏡面加工も可能です。

>>詳しくはこちら

アンビロイ製 金型部品

 

超硬プレート

この精密金型部品は難削材であるアンビロイを使用しており、中央の端部に3穴の小判穴と異形穴を精密加工しています。それぞれに寸法公差、ピッチ公差ともに±0.002mmの条件があり、下穴を放電加工機で加工した後にワイヤーカット5回切りすることで精度をクリアしています。また、金型部品の段差となっている箇所は研磨加工にて加工を行っています。

>>詳しくはこちら

超硬 ロウ付け薄肉精密加工部品

 

6-5-1-4

この薄肉精密加工品は、超硬材に放電加工にて下穴をあけ、四隅にセット用部材(SK3)をロウ付けし、ワイヤー放電加工にて幅0.6mmの薄肉加工を行った製品です。0.6mmと薄肉ですが、歪みが発生しないように加工方法、条件等を組み合わせ公差±0.003mmを実現しています。また、ロウ付けするSK材はマシニングでタップ加工を行っています。

>>詳しくはこちら

高精度のワイヤーカット放電加工のことなら当社にお任せ

超硬加工.COMを運営する㈱キンコーでは、高精度および超高精度のワイヤーカット放電加工機を用いて、お客様の精密加工ニーズにお応えして参ります。ワイヤーカットだけのご依頼でも対応しておりますので、お気軽にお問合せください。

>>お問い合わせはこちら

ワイヤーカット>>『高精度ワイヤーカット放電加工サービス』はこちら

また超硬加工.COMを運営する(株)キンコーが過去にお客様から受けたご質問はこちらです。

>>『ワイヤー放電加工での最小微細穴径を教えて下さい。』はこちら

>>『ワイヤーカット加工で使用可能なワイヤー線径を教えて下さい。』はこちら

>>『ワイヤーカット放電加工のみの依頼でも対応可能でしょうか?』はこちら

>>『超硬材へのワイヤーカットで、最小コーナーRはいくつですか?』はこちら

>>『ステンレスで製作している部品を、超硬に変更できますか?』はこちら

>>『超硬に対して、どんな溝加工できますか?』はこちら

>>『超硬に対して、どのくらいの精度で加工できますか?』はこちら